【動画元年2014】その3)フジテレビも参加宣言。見逃し無料配信でテレビはどう変わる?
テレビ局の動画配信について書いてきました。この分野はホットですねえと書いていたら、また新たな熱いニュースが飛び込んできました。産経ニュースのこの記事をご覧ください。
見逃し無料配信は、日本テレビさんとTBSテレビさんがすでに取組んでいたわけですが、フジテレビも来年1月からやるよ!と宣言したわけです。
実は先週ふれたInterBEE Connectedのパネルディスカッションの場で、フジテレビの山口局長が熱く語ってらしたんですね。自分たちは動画配信に取組んできたが、無料で番組を流す部分では遅れていた。でも海外の状況を徹底調査して、やるべきだと結論づけた。いま社内で議論している。そんな話を、ほんとに熱く熱く、近づくと火傷しそうな勢いで熱弁してました。
それが強く印象に残っていたので、じゃあ近いうちに発表があるのかなとは思っていましたが、近いどころか、翌週にはもうアナウンスがなされた。しかも亀山社長が会見でおっしゃったそうですから、本気度を感じます。この領域はどうやら、物事が加速して進んでいきそうです。
さてそんなホットなセッションの内容についてもう少し詳しく書こうと思います。パネルディスカッションとして非常に濃い内容で、あらためて各局の配信事業の状況や考え方がよくわかるものでした。
そして、途中からは日本テレビの太田さんの話を、他の局の皆さんが感心しながら聞く、という構造になっていました。放送後の無料配信の開拓者が日テレであり、太田さんだからです。それに太田さんはコンセプトを組み立ててから事業に取組むタイプです。物量にものを言わせてええーい!と勢いで何事もやっちゃう傾向の強いテレビ界には、珍しい人物ですね。だから、仮説を立てて取組む。その仮説も、惜しみなくスライドで披露していました。
中でもいちばん大事なのがこのスライドです。
このスライドには解説が必要ですね。まず、大きく上と下と二つに分かれています。
上の部分で説明しているのは、テレビ番組のこれからのウィンドウ戦略、みたいなことです。「放送する→一週間後までは無料でネット配信して広告収入を得る→そのあとはアーカイブ配信して月々定額収入を得る」というもの。
放送事業はこれまで、放送した時の広告収入を得ることに血道を上げてきました。ここ数年で有料での配信が事業になっていましたが、一本いくら、という売り方でした。
それを根本からとらえ直すわけです。放送事業の拡張だとも言えるし、全然違う事業に変える話でもあります。
だからここだけでも革命的です。放送業界の人はどう思うのでしょう。「まったくその通り!」と思うのでしょうか。「何言ってるんだよ」と思う人もいるでしょう。そうですね。かんたんに納得できない、という人もいるでしょうね。
さて私がここでさらに突っ込みたいのは、スライドの下の方の描かれていることです。ここがまた重要で、革命的です。上の話と少しレイヤーが違う話です。
さあ、いよいよそこの話をしますよ、と思ったのですが、ちょっと長くなりそうだな。すいません、つづきはまた、次回にしますね。もったいつけてますけど、一度にたくさん読むのも大変ですよね、ってことで、ご容赦を。
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著者:境 治 (さかい・おさむ)
コピーライター/メディアコンサルタント
株式会社エム・データ顧問研究員
東京大学文学部卒。コピーライターとしてフリーランスで活動した後、
ロボット、ビデオプロモーションを経て、13年7月から再びフリーランス。
ブログ「クリエイティブビジネス論」はハフィントンポストなどに転載されている。