【動画元年2014】その5)テレビ番組は新しいネット広告のベースになるかもしれない。
InterBEE の話をだらだら続けてますが、さらにご紹介したい話があります。ほんとうに今年のInterBEE はConnectedという特設コーナーができて、そこだけで本ができるくらい充実した内容だったんです。
前回も日本テレビ・太田さんのスライドをお見せしましたが、もう一枚、絶対に見ておいた方がいいスライドがあるので、私のつたない写真でご覧ください。
つたない写真でわかりにくくてすみません。タイトルに「ADVODビジネスモデルについて〜従来の考え方とは異なる〜」とあります。そして左側に「他社サービス」とあってFacebookのタイムライン上に日テレのドラマの場面が写っているようですね。そして右側には「日テレ動画プレイヤー」とあって上にCMの一場面、下にまたドラマのワンシーンがあります。
これはつまり、ドラマと一緒にCMがセットされたものを、Facebookのような場所に表示する、ということを示しています。それが“従来の考え方とは異なる”と言っているわけです。これは私たちがとらえてきたメディアとコンテンツと広告の考え方と、ほんとうにまったく異なる構造です。これを理解すると“動画コンテンツを持つことの強み”が今後どんどん発揮されそうだと気づきます。
わかりにくいですよね。わかりやすくするために私が描いた図をお見せします。
左側の方が“従来の考え方”のメディアとコンテンツと広告の構造です。メディアの上にコンテンツがあって、その脇に広告が添えられています。新聞や雑誌のような既存メディアも、テレビやラジオのような電波メディアも、ネット上のこれまでのメディアも、みんなこの構造でした。この構造から逃れようがなかった。コンテンツを見に人が来るので広告も見てくれる、そのビューに応じた広告費が収入になる。
右の図は、さっきのスライドを別の形で図解したものです。広告とCMがすでにセットになっていて、コンテンツ企業のサイトに置かれている。それを他のメディアに何というのでしょう、転載できる。どこにでも置ける。
そうすると、こういうことが起こりえます。スライドにある通り、ソーシャルメディアでは動画がシェアされる。FacebookやTwitterでシェアされるたびに動画を持つ側にとっては広告のビューにカウントされる。不思議なことにそこに“メディア料”は発生しない。あるいは、「うちのサイトに動画コンテンツを置きたいなあ」というメディアに「どうぞどうぞ、載せてください」という話が成立すれば、それもまたプラスになる。
メディアとコンテンツと広告の関係が、いままでとまったく違うわけです。動画の場合、こういうことがありえる。これはちょっとした革命かもしれません。
広告の仕組みというのは、実はこの100年くらいのもので、これまではなんとなく上の左の図のような構造でうまくいってました。でも違う考え方はあるはずなんです。動画広告には、そういうところまで変えるかもしれない大きな可能性がある。
そしてそんな中でやはりTVメタデータの役割が重要になりそうです。動画があちこちに置かれるようになるほど、見る側との接点が必要になるからです。テレビ番組の新しい可能性を切り開くにも、TVメタは役に立ちそうですね。
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著者:境 治 (さかい・おさむ)
コピーライター/メディアコンサルタント
株式会社エム・データ顧問研究員
東京大学文学部卒。コピーライターとしてフリーランスで活動した後、
ロボット、ビデオプロモーションを経て、13年7月から再びフリーランス。
ブログ「クリエイティブビジネス論」はハフィントンポストなどに転載されている。