【動画元年2014】その6)出演タレントが特定の人気者に集中するのは・・・
しつこく今回も動画元年をテーマに書きます。今年2014年はこのキーワードで暮れていく感じですね。
先週の話ですが、このブログサイトの母体企業であるエム・データ社がリリースを発表しました。
全局連携TV情報アプリ『ハミテレ』に、弊社提供の「テレビ話題ランキング 2014」が掲載されました。
こういうタイトルです。『ハミテレ』というのはテレビ情報アプリで、キー局とNHKが一致団結して世に出したもの。そこにエム・データが集計したランキングが載ってますよ、ということですね。
今年テレビに多く出演したタレント、取り上げられたスポーツ選手、登場した話題のランキングが確認できます。2014年がどんな年だったか、振り返る上でも面白いですね!
ところで、気になるのが出演タレントランキングです。一位の国分太一はTBS『いっぷく!』に毎日出てるのが効いたようです。そのあとはここ数年のこの手のランキング常連で、設楽統、有吉弘行、斉藤慎二、春日俊彰と、確かに人気者のお笑いタレントが並んでいます。あとは加藤浩次、若林正恭、後藤輝基、坂上忍にタカ&トシのタカと続く。彼らがいると、番組が楽しくなる面々。タレントとしても実力ある逸材ぞろいですね。
それにしても、彼らはほんとうにテレビでよく見る。朝から晩まで、いや深夜まで、毎日一日中見かけます。
それから、彼らはよく見ると、冠番組をいくつも持っているタイプではない。いくつも持っているのは有吉弘行くらいでしょうか。あとは、メインの司会者を支えるひな壇芸人が中心。そういうタレントさんが、朝から深夜までタイムテーブルに並ぶ状況がこのランキングから読み取れます。
悪い言い方をすると、テレビ番組がいま、一部のタレントさんで埋め尽くされている。特定の数十人に集中してしまっているのかもしれません。
なぜかと言うと、いま視聴率が偏っているからだと私は思っています。制作現場は毎日視聴率を相手に七転八倒しています。1%でも、0.5%でも、視聴率を上げなくてはならない。視聴率至上主義かよ、とすぐ言う人がいますが、仕方ないですよ。それで会社も自分も評価されるのですから。
一方、いま視聴率はどんな人口構成に対応しているのでしょう。この図を見てください。
このグラフを見ると愕然としてしまいます。F2M3つまり50歳以上が44%もいるのです。そしてテレビ視聴は女性のほうがずっと多い。つまり、いまの視聴率はF3の視聴でほぼ決まります。さすがに深夜の深い時間はのぞきますが、12時ごろまでならF3が視聴率を左右する。『ごめんね青春!』がいくらティーンエイジャーで盛り上がっても10%に届かない。この図を見るとそうなるに決まってますね。
さてそうすると、F3に好まれるタレントを出した方がいいわけです。先ほどのランキングも、ギャグの面白さだけでなく、絶妙のバランス感覚を身につけた人々。それはもちろん、素晴らしい才能です。でも、若い人の気分は反映されにくいですね。
私の息子、大学一年生19歳は、さっきのランキング10位のうち半分を知らないと答えました。テレビをあまり見ないから当たり前ですが、それにしても半分です。“みんなが知ってるタレント”と、若者が知ってるタレントの間に大きなギャップが生まれています。
だから、テレビはネットに出ないといけません。若者の生活の中に少しでも居場所を作らねばならない。そして視聴率とともに、どんな話題やタレントが若者に共感を得られるかも気にした方がいい。若い人にとってのテレビコンテンツを、ネットを通じて若者と一緒に育てていかねばならないのです。
さっきのグラフは、平成24年のデータをもとにしています。そこからすでに二年経っているのです。統計局には2020年の推計値もあります。そのグラフを見ると、危機感が押し寄せてきますよ。テレビがこれからどうなるか、ネットの活用次第だと思います。
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著者:境 治 (さかい・おさむ)
コピーライター/メディアコンサルタント
株式会社エム・データ顧問研究員
東京大学文学部卒。コピーライターとしてフリーランスで活動した後、
ロボット、ビデオプロモーションを経て、13年7月から再びフリーランス。
ブログ「クリエイティブビジネス論」はハフィントンポストなどに転載されている。