【Talent Rank】タレント四季報・2018年秋のタレント総合ランキングNo.1は、嵐
エム・データが提供するタレント全量データサービス「Talent Rank」から四半期別レポート「タレント四季報」が発行された。
今回は最新の「タレント四季報・2018秋(7-9月)」号から、タレント総合ランキングをご紹介しよう。
上図は「タレント四季報・2018秋(7-9月)」号のタレント総合ランキングだ。
2018年7-9月期のタレント総合ランキング第1位に輝いたのは、嵐。タレントスコア累計が1,113と1,000点の大台越えを達成、スコア前期比も108.4%、前年比でも102.4%と今もスコアを伸ばし続けての堂々の全タレント中ナンバーワンの座を獲得した。嵐の総合ランキング1位は前期(4-6月期)からの2期連続、2018年の年間タレント王(年間総合ランキング1位)の座にこれで一歩近づいた。
この「タレント四季報」の元となっているTalent Rankには、関東地区の地上デジタルテレビ放送に露出し、エム・データのテレビメタデータに記録された全てのタレント、そして週あたり250人以上のアカウントにTweetされた全てのタレントが網羅されている。その数は2018年7-9月期で42,126人にもなる。まさに、日本最大のタレントランキングだ。
これら”全タレント”のテレビ番組露出量、テレビCM放映量、Twittert投稿量(アカウント数)をそれぞれ偏差値化して算出したものが、タレントスコア(=タレント偏差値)だ。
タレントスコアはそのタレントの、1:テレビ番組露出力、2:テレビCM露出力、3:ネット(Twitter)露出力をそれぞれ偏差値化した上でスコア化した、タレントパワーを表す指標だ。偏差値化することで、番組露出、CM露出、Twitterといった異なる単位の指標を比較、統合しやすくなる。そして複数の指標をまとめてタレントスコア化することで、タレント同士の比較、特に異なるジャンルのタレントの比較が可能になる。さらに、各ランキングの前期比、前年比を見れば、短期、長期でのそのタレントの勢いの強さがわかる。
Talent Rankを四半期ごとに要約したレポート「タレント四季報」を見れば、各シーズンごとの日本を代表するメジャータレントは誰か、旬の急上昇タレントが誰かが一目でわかる。たとえば、7-9月期の場合、前期4-6月期と比較してそのタレントがどのくらい上昇しているのか、さらに前年同期2017年7-9月期と比較して今年どのくらい伸びたのかがわかる。直近の急上昇と下降、昨年から続く長期の上昇下降が、タレントごとにわかるのだ。またランキングによっては前期比、前年比が無いタレントも現れる。これはランキング圏外からの急上昇であることを表している。
たとえば、総合ランキング第2位は、”引退”が社会現象にまでなった安室奈美恵。前年同期比で227%の急上昇、前期比でも179%の数値は、安室がこの7-9月期に急激にスコアを伸ばしたのがわかる。スコアの内訳は「TV番組 / 分」、「TVCM / 分」、「Twitter / 人」の各項目を見ていただければわかる。安室の場合、他のタレントと比べて多いのがTwitterだ。嵐の92万には及ばないが、安室の79万のスコアはここで示した50位までのランキングでは他を大きく離しての2位であることがわかる。テレビ露出量は他のタレントを圧倒するほどではなかったが、そこには短期で大幅に伸びた圧倒的なバズ量があり、7-9月期の話題を半ば独占したであろうポップスターの姿が見えてくる。
この「TV番組 / 分」、「TVCM / 分」、「Twitter / 人」を俯瞰してみていただくと、それぞれのタレントパワーには違いがあることもお分かりいただけるであろうか。先の安室、そして総合1位の嵐はこの3項目の特徴で言えばTwitter型だ。テレビ露出量に対してバズ(Twitter)量のウエイトが高いのがこのTwitter型だ。これは特にアイドルに多く、ファンが常にそのタレントの話題を追い、拡散し続けていることがわかる。タレントにとってはこのTwitterは自分自身の旬の話題性を図る上で重要な指標であると言えるだろう。
さらにテレビCMのウエイトが高いのはCM型、テレビ番組のウエイトが高い番組型、各指標に満遍なく数字を持っているバランス型のように、スコアのつき方からそのタレントのタイプを分類することができる。一般にバズ(Twitter)量とテレビ露出量は逆相関となることがわかっているので、ネットでの話題性とテレビ露出量を相互にバランスよく拡大し続けていくことが、メジャータレントとしての成功していくパターンになる。
逆にCM型のタレントだがバズが少ない、番組型のタレントだが前期比、前年比とも落としている、などは気になるケースだろう。バズが少ないタレントは自身の話題喚起力がどうなのか、チェックしてみるといいだろう。同じカテゴリーでスコアの近いタレントの中からバズの多いタレントを見つけてそのバズ内容を検証して見ればいい。わざとらしい仕込みやスキャンダルではなく自然にファンに共有されるポジティブな話題の切り口が発見できるはずだ。それをヤラセでは無い自然な方法で発信していくのだ。バズを検証すればお分かりいただけると思うが、視聴者はテレビでの何気ないコメントやリアクションに敏感に反応し、食いついてきてくれる。視聴者はそのタレントの人間性に触れたいと無意識に思いながらなんでもないバラエティのコーナーや囲みのインタビューを見ているものなのだ。そして、そこで拾われた他愛のない言葉や仕草、表情が、瞬く間にネットで拡散し、タレントのキャラクターを印象付けてしまう場合もある。
興味がある人であればあるほど、あの人はこんな人であるらしいと、理解し、キャラ付けしたいものなのだ。
リアルの舞台には客席があり、客の反応はダイレクトに舞台に返ってくる。舞台上の演者は、ダイレクトなリアクションを肌で感じながら、それを次の芸に反映させることができる。そうやって客席の反応をコントロールしながらクライマックスで最高潮に持っていけるのが優れた舞台芸術家なのだろう。
現代のテレビでは、カメラが回っている時にその向こう側のネット上の反応まで意識しながら立ち回ることが求められている。お茶の間ではないのだ。テレビを前に食卓を囲むステロタイプな家庭は過去のものとなり、現代のタレントが対峙しなくてはならないのはネット上を秒速で流れ去るタイムラインなのだ。
「Talent Rank」は、そんな”今どき”のタレントパワーを可視化するためのツールである。
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著者:梅田仁 | Jin Umeda
ライフログ総合研究所(Life Log Lab.)所長
iPhone、iPod、iTunes、Mac、Apple TV、Apple Storeのシニア・マーケティング・プロデューサーとして、Apple(AAPL)を時価総額世界一のブランドに育て上げることに貢献。iTunesで取り扱う内外のエンターテインメント・コンテンツ、アーチストの需要トレンド、視聴者の嗜好パターン分析を通してプラットフォームメディアビジネスにも精通。2013年、ライフログ総合研究所を設立、TV Rank、Talent Rankサービスを展開中。著書:「売れない時代に売る新常識」出版文化社、2011