新人メタデータコーディネーターが「GWに行きたい観光スポット」について調べてみた!
今年のゴールデンウィークは最大10連休ですが、旅行先は決まりましたか?まだどこへ行くか決まっていない方のために、TVメタデータを使って「観光スポット」をテーマに調べていきたいと思います。
エム・データでは「①番組データ(番組放送内容)」「②TV-CMデータ(TV-CM出稿内容)」「③商品データ(番組で紹介された商品情報)」「④スポットデータ(番組で紹介された店・宿・観光地等の情報)」の4種類のデータを作成しており、これまでの記事では①と②を多く使用していましたが、今回は初めて④の「スポットデータ」を使用していきます。
データの抽出
まずは関東エリア(地上波キー局)で1日に約400件作られるスポットデータの中から、旅行に適したデータを抽出しようと思います。私はミーハーで流行しているものが好きなので、王道のスポットというよりもここ数年でじわじわ人気が高まっているようなスポットを見つけることを今回のゴールとしたいと思います。(テレビで取り上げられている時点で「じわじわ」レベルとは言えないかもしれませんが。。)
「スポットデータ」は文字通りテレビ番組で紹介されたお店や宿泊施設、観光スポットなどを記録しており、その場所のジャンル、住所、営業時間やホームページURLなどもをまとめているまとデータです。また、テレビ番組データとも紐づいているので、それがどのような文脈での露出や紹介だったのかも知ることができます。
お客様に活用いただく事例としては、取り上げられた飲食店や宿泊施設のランキングなどをテレビ番組で紹介いただいたり、競合他社の状況を把握したりというものがあります。
最初に関東で放送されたテレビ番組データ内で「旅行」もしくは「観光」という単語が使用されたスポットに限定し、ひとまず2016年から3年間分抽出してみます。2016年が4,213件、2017年が5,226件、2018年が5,370件出てきました。2年で増加率127.4%です!ちなみに訪日外国人観光客の数はJNTOのHP ( https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/ ) によると、2018年(3,119万人)は2016年(2,403万人)の129.7%でしたので、順当な伸び率であるように思います。
この3年間分のデータを「市区町村」と「スポット名」でランキングにしてみました。まずはシンプルに露出件数の多かったランキングです。
市区町村件数ランキング
東京の放送局のランキングなので、やはり上位は東京(紫色)に集中しています。東京以外の都市で見ると、2016年は熱海市、2017年は箱根町、2018年は日光市がトップに来ています。王道ですね。
スポット名件数ランキング
スポット名で見ると2016年のトップは「バスタ新宿」「国立西洋美術館」、2017年は「上野恩賜公園」「伏見稲荷大社」、2018年は「成田国際空港」「豊洲市場」となり、東京近郊の王道スポット・新規スポットが上位に来ました。2018年上位の「成田国際空港」「豊洲市場」などは、外国人観光客の影響を感じさせます。
ちなみに2018年4位の「清水寺」が棒グラフに複数色混じっているのは、「清水寺」が全国各地にあるお寺の名前だからです。最も割合を占めているのはもちろん京都府にある清水寺で、他に大阪と新潟の清水寺が紹介されていました。
市区町村伸び率ランキング
次に、もう少しマニアックな場所を見つけたいので、2016年に対しての2018年の伸び率が高いランキングにしてみます。
上位は兵庫県豊岡市、香川県高松市、東京都調布市となりました。
1位の兵庫県豊岡市は2016年の放送回数が1回でしたが、2017年に13回、2018年に18回へアップしました。この豊岡市を町名まで掘り下げて見てみると、ほとんどが城崎町湯島という地区のスポットでした。こちらの地区は「城崎温泉」があり、放送されたテレビ番組の内容を見ると「外国人観光客も訪れる、不便だけど人気の秘境温泉特集」「城崎温泉郷の女性外国人観光ガイドに密着」などがありました。トリップアドバイザーでは4.5の高評価を得ています。
「歴史と文学といで湯のまち」、とっても気になります!
きのさき温泉観光協会公式サイト
http://www.kinosaki-spa.gr.jp/
2位の香川県高松市もテレビ番組の内容が「海外でも人気な香川うどん」「外国人宿泊者伸び率1位を獲得した香川県の魅力」など、こちらも外国人観光客に関するワードが目立ちます。
3位の東京都調布市はどこか特定のスポットやエリアが特集されるというよりも、番組ごとにそれぞれの施設が紹介されていました。都立で唯一の植物公園である「神代植物公園」や、キユーピーのマヨネーズ工場について学べる施設「マヨテラス」などが紹介されていました。
神代植物公園
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index045.html
マヨテラス
https://www.kewpie.co.jp/entertainment/mayoterrace/
市区町村新出伸び数ランキング
次に、伸び率だけだと2016年に放送回数0回だった情報が取れないので、より旬な情報を見つけるためにも、別途2016年には放送されなかったのに2017年、2018年に新たに登場した市区町村の伸び数ランキングを出してみます。
新しく登場したスポットは、上位から群馬県館林市、東京都立川市、東京都青梅市、栃木県栃木市でした。
1位の群馬県館林市の放送は全て4月と5月の放送でした。中でもスポットとして目立っていたのが「つつじが岡公園」で、つつじが見ごろの「つつじまつり」の開催がこの時期であることも関係していそうです。今年も「つつじまつり」は4月10日~5月10日まで開催されるそうなので、ゴールデンウィークの観光にはぴったりですね。
館林市つつじが岡公園ガイド
http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/tsutsuji/index.html
2位の東京都立川市は先ほどの東京都調布市と似たテイストで、旅行に関する特集というよりも、立川で開催されたスポーツ大会についてのインタビューであったり、気候の変化による公園の取材であったり、副次的な印象を受けます。東京のテレビ局が取材するのに適した地理であると言えると思います。
3位は立川市や調布市よりもさらに電車で行った、東京都青梅市。ゴールデンウィークや紅葉シーズンにおすすめということで、御岳山が紹介されていました。
みたけ山観光協会
http://www.mt-mitake.gr.jp/
同じく3位は栃木県栃木市です。小江戸の町として紹介されており、「小江戸」というと主に「埼玉県川越市」のイメージが強いですが、2018年の件数ランキングでは東京都を除くエリアで同じく栃木県の日光市が1位ということもあり、ここから更なる急成長を見せるかもしれません。
スポット伸び率ランキング
続いてスポットのランキングです。
1位 元離宮二条城(京都府京都市中京区)
「京都の桜スポット」「外国人観光客と外国人建築家に聞いた、日本で感動した世界遺産建築特集」「多くの外国人観光客が訪れる古都・京都の名所ベスト20」等のテレビ特集で紹介されました。2位(同率) 高知城(高知県高知市)
2018年放送の大河ドラマ「西郷どん」に高知県出身の坂本龍馬が登場していたこともあってか、2018年は「高知県」をテーマにした旅番組が見られ、その中でも「高知城」はマストの観光スポットであったようです。2位(同率) 高徳院(神奈川県鎌倉市)
鎌倉へ行ったら必ず参拝して写真を撮りたい、大仏様のある高徳院。インスタグラムでの寺院の写真を見てみると、今ではすっかり定着した御朱印帳の写真がアップされているのがよく見られ、高徳院では大仏デザインの御朱印帳を購入できるということで人気でした。4位(同率) 丸亀城(香川県丸亀市)
4位(同率) 浅草文化観光センター(東京都台東区)
4位(同率) 東寺(京都府京都市南区)
スポット新出伸び数ランキング
1位 中央卸売市場豊洲市場(東京都江東区)
2018年9月に開場し、数ヶ月でダントツの伸び数を見せた豊洲市場。オープン時の盛り上がり以降は、「はとバスツアー」や外国人観光客で賑わっている様子が紹介されました。2位(同率) 秋田犬ふれあい処(秋田県大館市)
2018年の平昌オリンピックで金メダリストのザギトワ選手が秋田犬「マサル」をプレゼントしてもらったことから、秋田犬人気に火が付きました。マサルのきょうだい犬もこちらの店舗で会えるそうです。2位(同率) 南禅寺(京都府京都市左京区)
緑豊かな境内に赤レンガで造られたレトロな水路閣が、フォトジェニックであると人気を博しているようです。とっても絵になります。3位(同率) エンブレムホステル西新井(東京都足立区)
3位(同率) つつじが岡公園(群馬県館林市)
先ほど市区町村ランキングでも登場した「つつじが岡公園」です。3位(同率) 芦ノ湖(神奈川県足柄下郡箱根町)
3位(同率) 栗林公園(香川県高松市)
3位(同率) 江島神社(神奈川県藤沢市)
3位(同率) 新千歳空港(北海道千歳市)
3位(同率) 熱海梅園(静岡県熱海市)
感想
こうして見ると、お城や神社、公園など、日本ならではのスポットが多くランクインしているように見えます。特にインスタグラムに投稿された写真を見ていると、ちょうど今の時期だからというのもあるかもしれませんが、桜や梅や水辺など、自然をメインに据えた写真が多く上がっているように思います。
いわゆるインスタ映えの題材になる仕掛けられた施設や商品の人気は一旦落ち着き、外国人旅行客への訴求に合わせて、日本人も日本固有のものを振り返る時期なのかもしれないなと感じました。
私も旅行プランを立てる際の参考にしてみようと思います!
以上、観光スポットを調べてみた、でした。
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著者:荒川 楓 (Arakawa Kaede)
株式会社エム・データ
メタデータコーディネーター/広報チーム。大学在学時にテレビ局・映画配給会社でアルバイトをした後、映画業界で企画・マーケティングなど。
M Data Co.,Ltd.
A Metadata coordinator and in charge of public relations. I used to work in the movie industry and TV stations.
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