【テレビ指数】パフォーマンスはTOPIXの3.2倍!

東証上場銘柄のテレビ露出量を指数化したものが今回ご紹介する「テレビ指数」である。

対象期間中にテレビ露出があった全ての上場銘柄の露出量平均値を「テレビ指数=1」とした時に、それぞれの銘柄のテレビ露出量が平均値の何乗(何倍)であるのかを表す指標である。

テレビ指数を用いることで、評価対象とする銘柄のテレビ露出量が全露出銘柄平均の何倍であるのかが直感的にわかるようになっている。これによって、銘柄ごとの差や、同じ銘柄の期間ごとの違いや、露出銘柄全体に対しての評価銘柄の位置などが簡単にわかる仕掛けだ。



オルタナティブデータという概念がある。

その業務で通常用いるデータセットだけでは分析の精度や幅が限られていると感じる時に、扱うデータの種類や幅を拡大することで、本来のデータに対して代替(オルタナティブ)的な機能や多角的な視点を獲得しようという手法である。



エム・データではテレビの放送内容をデータベース化したテレビ・メタデータをご提供している。このテレビ・メタデータに上場銘柄の証券コードを付与することで上場銘柄ごとのテレビ露出量の抽出が可能となり、テレビで放映された銘柄ごとの情報量を数値化するという目的で「テレビ指数」が実現した。

「テレビ指数」により、従来の株価や出来高といったマーケットデータだけではなく、それぞれの銘柄のテレビ露出量、つまりテレビという媒体を通過した上場銘柄ごとの情報量とその変化をテクニカル分析に組み込んだり、それを利用してシグナルやアラートを開発することが可能となったのである。株価や出来高以外のテレビ露出量というオルタナティブ(代替的、多角的)な次元を新たに付与し、より精度の高い分析を行うことが可能となったのである。

株価や出来高といった従来型の伝統的なマーケットデータ以外に、新たに「テレビ指数」を用いるメリットには次のようなものがある。



・株価や出来高などマーケットでの売買結果を反映した従来型のデータとは異なる、テレビという媒体を通過した上場銘柄ごとの「情報量」という従来型データからは直接影響を受けない独立したデータソースを利用することができる。

・株価や出来高などマーケットでの売買結果を反映した従来型のデータからは得られない、特にマーケットに売買が反映される前の「情報量」という予兆段階の動向から数値化された指標を扱うことができる。

・結果としてテレビに情報として出現し放送された全ての銘柄が網羅されるので、その時点で「テレビ露出あり」のスクリーニングがされた銘柄情報を全ての上場銘柄に横断的に包括的に把握し利用することができる・指数の時系列変化から銘柄ごとのテレビの情報量の上昇期、下降期といったトレンドシグナルを得ることができる。

・業種分類や商品カテゴリー単位での集計などを通して、セクターごとの分析やカテゴリーごとの評価を行うことも可能になる・決算期や正式な広報発表(プレスリリース)よりも前のニュース段階、取材段階、スクープ段階、調査段階、あるいは間接的な露出段階での予測期、予兆期、胎動期、始動期、成長期など各事前段階でのIR発表前トレンドを掴むことができる。

・株価等の変数との関係性を検証することで、先行指標として利用や独自モデルの開発などに繋げることができる。




では実際に「テレビ指数」と株価の間にはどのような関係があるのだろうか。

その前に東証上場銘柄のテレビ露出状況を見てみよう。

先にご案内したテレビ・メタデータのデータベースから、東証全上場銘柄の証券コード全件で検索を行う。対象は関東のNHK、民放全局の全ての番組とCM、対象期間は2023年1月から2024年3月末まで。結果は以下の通りだ。


・TOPIX Core30、Large70の全銘柄がテレビ露出あり。

・Mid400銘柄も96%・382銘柄がテレビ露出あり。

・日経225全構成銘柄の99.1%がテレビ露出あり。

・TOPIX全構成銘柄のテレビ露出銘柄率は57.2%、1,227銘柄がテレビ露出あり。

・東証全上場銘柄のテレビ露出銘柄率は42.4%、1,628銘柄がテレビ露出あり。



時価総額が比較的多いTOPIX Mid400以上、および日経225で95%以上の銘柄のテレビ露出が確認できた。さらにTOPIX Small 1でも64.8%がテレビに露出、東証全銘柄では42.4%がテレビ露出の実績があった。




TOPIX上位(Mid400以上)や日経225では96%以上とほとんど全ての銘柄でテレビ露出実績が確認された。また、東証上場銘柄全体で見ても対象期間中に半数近くの銘柄のテレビ露出実績があった。中・大型銘柄はほぼ全数、上場銘柄全体で見ても半数近くがカバーされているという状況である。

また、テレビ露出実績があるという条件で有用なのは、対象期間中にテレビ露出がなかった銘柄でもトピックがあればテレビ露出のチャンスがあるということだ。いわゆるテーマである。

時価総額上位企業にテーマが多く、ほぼ全銘柄が日常的にテレビをはじめとしたメディアやネットでその話題が取り上げることが多いのは当然であるが、実は話題性の乏しい小型銘柄でも、一旦注目すべきテーマやニュースが発生すればテレビやネットで取り上げられる機会が訪れる。

つまり、テレビ露出があるということを、注目すべきニュースや情報といった「テーマ性・話題性」がある銘柄という「スクリーニング条件」として捉えれば、それそのものが価値を産むことになる。日頃は露出機会のない銘柄がテレビに露出したことそのものに大きな意味があるということだ。そして、普段は露出機会がない銘柄だからこそ、テレビ露出というスクリーニング条件が大きな意味を持つことになる。このことについては改めて具体的なテクニカル指標の一つとして取り上げされていただくが、テレビ露出とは既存で露出している銘柄はもちろん、普段は露出機会のない小型銘柄にも大きな意味合いのあるものなのである。


その意味では、テレビ指数を全銘柄を対象とした話題性指標、テーマ性指標であると捉えるとその重要性はさらに増すことになる。





では、実際に「テレビ指数」と株価の関係について見ていこう。

テレビ・メタデータのデータベースから抽出した東証全上場銘柄のテレビ露出データを、それぞれの銘柄の株価データと比較検証してみる。今回はテレビ露出の増減が株価にどのような影響を与えているのかを見るために、テレビ露出のトレンドデータと株価との比較を行う。具体的には、期間の異なる(短期・中期)テレビ露出量のトレンド(移動平均)と株価との比較だ。

対象期間は2022年の7月最終週から2024年の2月最終週まで、東証上場全銘柄が対象だ。この間にテレビ番組露出があったのは東証上場全銘柄中1,456銘柄、この期間にテレビ番組露出の短期トレンド(移動平均)線が中期トレンド線を上回る、いわゆる「トレンド転換点」(テレビ露出トレンドが上昇期へと移行する転換点)を迎えたのが8,052回、平均すると1銘柄あたり5.5回のテレビトレンド上昇期があった計算になる。

このテレビトレンドの上昇期に株価がどのくらい上昇したのかを検証すると、8,052回あったテレビトレンドの上昇転換週の翌週に株価(週の終値)が上昇していたのが5,250週、率(勝率)にすると65.2%、TOPIX Core30の構成銘柄のみに絞ると勝率は72.03%であった。これをテレビトレンドの上昇転換週の4週目で見ると銘柄全体の勝率は75.51%、TOPIX Core30では82.2%と8割超にまで上昇する。テレビトレンドの上昇期に株価も上昇し4週目には全銘柄の75%、TOPIX Core30では80%以上にまで株価上昇銘柄が拡大していたのだ。



「テレビ指数」の上昇期に全銘柄の75%以上で株価の上昇が見られたのである。



テレビでの露出量が増えるということはその銘柄のニュース、情報、ネタ、テーマが拡大したということだ。株価が上昇するのも、その銘柄のニュース、情報、ネタ、テーマの拡大が伴うのは自明であると思う。



A:その銘柄のニュース、情報、テーマの拡大を伴う株価の上昇

B:その銘柄のニュース、情報、テーマの拡大を伴う株価の下落

C:その銘柄のニュース、情報、テーマの拡大を伴なわない株価の上昇

D:その銘柄のニュース、情報、テーマの拡大を伴なわない株価の下落



AとBは自然な現象として起こりうる合理的なケースだろう。違いはAの場合は拡大した情報が株価にとってポジティブであったこと、Bの場合はそれがネガティブであったというのが一般的な理解だろう。実際、今回の検証ケースでもテレビトレンドの上昇が見られたのに株価が上昇しなかったケースでは、多くの場合拡大した情報が銘柄の株価にとってネガティブなものであった。たとえば、個人情報の流出であるとか事故やスキャンダル、決算の下方修正など、株価にとっては売りにつながるような情報の拡大が多かった。

これは見方を変えると、拡大する情報の株価に対するセンチメントを判断すれば、テレビトレンドの上昇に伴う株価上昇勝率を向上させる手段が存在する、ということも意味している。これは可能性として重要ではないだろうか。




ではCとDのケースはどうであろう。

冷静に考えてこれは金融当局が関心を寄せるような不自然な事象ではないだろうか。株価が変動しているのに、その銘柄に伴う情報量に目立った動きが見られないのである。不自然ではないか。株価の変動に対しての要因が一般に開示されずインナーだけで処理されているような不自然な印象を与える。

いかがだろう、テレビに露出するということはその情報が一般に周知、告知されるべき情報として扱われていることを意味し、特に株式市場のような参加者が多岐にわたる公開マーケットにおいてはその情報の拡大は株価にとって相性の良いものになる。それが、75%以上というテレビ露出の上昇と株価上昇の関係に現れているのではないだろうか。

冒頭にご案内した「テレビ指数」とは、東証の全上場銘柄を対象に銘柄ごとのテレビ露出量を指数化した指標である。この銘柄ごとの「テレビ指数」のトレンドを追うことで、銘柄ごとの情報量の変化を把握することができる。そしてその情報量の変化、「テレビ指数」の変化は株価の変動と密接な関係があるのだ。

TOPIXや日経平均が上昇も下降も含んだ対象銘柄全体の変動をできるだけ忠実に反映することに意義があるのに対して、「テレビ指数」は対象銘柄のニュース、情報、テーマが出現・拡大した時に関して大きな役割を発揮する。「テレビ指数」は上昇局面の検知に適した指標であると言える。

実際に「テレビ指数」とTOPIXの比較では2023年の累積リターンの試算で「テレビ指数」はTOPIXの3.2倍のパフォーマンスを示している。




東証上場全銘柄のニュース・情報・テーマの出現と株価の上昇局面を捉えるのに適した「テレビ指数」は、エム・データがご提供する各種のサービスでご利用いただくことができる。この機会に、ぜひお問い合わせをいただければ幸いである。









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第7回 「ブランドランキング」からわかる優良銘柄とは?
第8回「ブランドランキング」でわかるカテゴリー別優良銘柄〜1. 競争型カテゴリー
第9回「ブランドランキング」でわかるカテゴリー別優良銘柄〜2. 支配型カテゴリー
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