TVメタデータで「マリトッツォ」を分析する

当今TVメタデータがDX研究にご活用いただく機会が増え、テレビ業界だけではなく多種多様な業界でお引き合いいただくようになりました。中でも社内のホットな事例が小売業界様向けの施策です。先日も弊社のメンバーが小売業界様向けに講演をいたしました。
実践リテールDX研究会『購買行動に影響を与えるテレビ情報(TVメタデータ)の活用と可能性』
https://diamond-rm.net/seminar/92558/
※本セミナーは終了しています。

その際、いくつかの事例の中で「パンケーキ」が流行した際のテレビ番組との相関についても触れており、
(数年前、エム・データへジョインする際にこのパンケーキの分析を知り「TVメタデータでパンケーキが流行することを分析できるなんて、TVメタデータってなんて拡がりのあるデータなんだ!」と感銘を受けたのを思い出しました)、
パンケーキを最近の事例に置き換えると今は「マリトッツォ」で分析ができるのではないかと思い、今回は「マリトッツォ」とテレビの相関関係を見ていこうと思います。

 
 

初めに、テレビ番組の放送内容をサマリー化した番組シーンデータから、「マリトッツォ」という言葉が出てきたテレビ番組の放送回数をグラフ化します。期間は20年9月~21年9月にしました。

 

このようなグラフになりました。
期間中「マリトッツォ」が最初に登場したのは2020/9/30放送の「なないろ日和!」(テレビ東京)で、フードジャーナリスト・里井真由美さんが原宿エリアと表参道エリアのニューオープンの店を紹介する「頑張っている街や人を全力で応援したい!原宿・表参道・ニューオープンの店」というコーナーで、いくつかあるスイーツの中の一つのメニューとして紹介されていました。
以降2021年に入ってから右肩上がりで露出が増えており、9月上旬にピークを迎えています。

 

続いて、消費者の行動に紐づく流行の裏付けデータとして、エム・データもお付き合いがあり、TVメタデータ連携先のTalkwalkerさんが提供するAI搭載の分析プラットフォーム(https://www.talkwalker.com/jp)で、「マリトッツォ」のSNSでの投稿数を出してみます。

 

こちらはTalkwalkerのツール画面です。
赤枠で囲った右上の部分が「マリトッツォ」の投稿件数推移で、21年6月から7月にかけて急激に投稿数が伸びています。
このSNS投稿数と、先ほどのTVメタデータを重ね合わせてみます。

 

こんな感じになりました。
こちらの図を見ると、SNS(消費者行動)で最も跳ねた21年6月~7月の波よりも以前に、継続的にテレビ番組でマリトッツォが放送されており、テレビの放送が消費者行動よりも先行していることが見えます。

 
 

ちなみに皆さんは「マリトッツォ」をいつ頃知ったか覚えていますか?
ソーシャルリスニングデータが認知度とどのように関連があるのか、社内でアンケートを取ってみました。

社内48名にアンケートを取り、「マリトッツォを知っている」と答えた方は、34名、認知度70%でした。(※「マリトッツォを知っている」定義として、名前を知っているのみではSNSでのつぶやきには繋がらないと考えたため、”「マリトッツォ」を販売している(していた)店舗を1ヶ所以上言えること”を条件にしました。)

 

さて、AI搭載の分析プラットフォームを提供するTalkwalkerでは、先ほどの「マリトッツォ」を投稿した方のユーザー属性を見ることができます。マリトッツォに関してはわざわざ調べなくても予測できるような気もしますが、やはり男性よりは女性の方が多く、また若年層が投稿しています。

 

ついでにエム・データ社内の「マリトッツォを知っている」と答えた方の割合は、同じく女性の方が多くなりました。

元々アンケートの対象者も若干女性の方が多いので、あまり参考になるデータではないかもしれません…。

 

さて、このマリトッツォを知っている人たちが、いつ頃マリトッツォのことを知ったのか聞いてみました。

 

最も多いのは、同率で2021年3~4月と、2021年5~6月でした。先ほどの図に当てはめてみるとこのようになります。

 

弊社社員は一般的な社会人よりも仕事柄テレビを観る・意識しているので、もしかしたらテレビ情報感度が特別高いのかもしれませんが、SNS投稿数のピークと比較して見ると、意外にも早くから存在を認知していたのだということがわかりました。

続いて、いつ頃食べたかの調査です。マリトッツォを知っていると答えた34名のうち、マリトッツォを食べたことがあると答えた方は23名、67%でした。このわずか1年ほどの間に3人に2人が食べているというのは、結構な確率ではないでしょうか。

 

マリトッツォを食べた方のほとんどは2021年7~8月、次いで2021年9月以降でした。見事にSNS投稿数のグラフに近い結果になりました。
先ほどの図に加えるとこうなります。

 

春にはテレビを観てマリトッツォの存在を認知していたものの、実際に食べたのは夏以降。まさにテレビ放送回数とSNS投稿数の関係性に近く、テレビ(及びその他の要因)から得た情報で認知→食べる&投稿する、という流れが見受けられます。

テレビの最初の波である21年3月~6月頃には、マリトッツォは「急増中の旬スイーツ・マリトッツォを食べ比べ」「“農林水産省が予想・2021年のトレンドスイーツ”を50音順に答えて」のようなコーナーで、「今旬のスイーツであるマリトッツォ」としての紹介のされ方だったのに対し、少し時期を空けて最も多く放送された21年9月には、「マリトッツォ・○○とコラボでバカ売れ」「冷やしレモンマリトッツォ編」のような、コラボやアレンジなど、既にマリトッツォを知っている前提での紹介のされ方に変化していました。

つまり、SNSでバズり(消費者行動)、テレビでの紹介も活況を迎える前の段階、この図で言うと21年3月~6月頃のテレビの紹介ボリュームの増加を事前にキャッチできれば、小売店さんや飲食店さんはこのブームより前にマリトッツォ商品を入荷・メニュー開発しておくことができ、突然の人気で棚が品薄、販売機会の損失ということを防ぐことができるのです。

 

本調査は簡易的なものではありますが、このようにTVメタデータを活用して各業界の課題に即した分析を深掘っていけば、ヒットの予兆を掴み、発注数や流通の戦略を立てていくことも可能になってくると思います。小売業界でもご活用いただけるTVメタデータを、ぜひお試しいただけますと幸いです。

 

【Talkwalkerについて】
Talkwalkerは、高度なAIを搭載した会話型インテリジェンスプラットフォームを提供し、あらゆるチャネルにわたり交わされている消費者や顧客の会話をリアルタイムに収集。顧客の声に応えるビジネスを運営する国内外の大手企業をサポートしている。


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