【TV Alpha-02】なぜTV Alphaは非連動なのか ― Attention ShockとSelective Exposure
「市場に勝つ」のではなく「市場に参加する瞬間を選ぶ」
TV Alphaを説明する時、よく誤解されるのが、「テレビに出た銘柄を買う戦略」だと思われることです。
しかし、実際にはそうではありません。
TV Alphaは、テレビ露出そのものを見ているわけではありません。
見ているのは、“Attentionの変化速度”です。
どの種類のAttentionが、どのタイミングで、どの強度で発生したのか。
そして、そのAttentionが市場にまだ十分価格化されていないかどうか。
ここを見ています。
つまりTV Alphaは、「テレビイベント」をトレードしているのではなく、“Attention Shock”を観測しているのです。
なぜ市場非連動になるのか
従来のクオンツ戦略の多くは、市場内部のデータを利用しています。
価格、モメンタム、出来高、ファンダメンタル、金利。
そのため、どうしても市場全体の方向性から完全には独立できません。
一方TV Alphaは、人間側の変化を見ています。
社会で何が話題になっているのか。
どのNarrativeが拡散し始めているのか。
どのブランドがAttentionを獲得しているのか。
つまり市場の“外側”にある情報を使っています。
市場データの外にいるというこの全くユニークな構造が、TOPIXとの低相関につながっているのです。
Selective Exposureという考え方
TV Alphaのもう一つの特徴は、常時市場参加型ではないことです。(図1)

一般的なLong戦略は、ほぼ常に市場へExposureを持っています。
しかしTV Alphaは違います。
TV Alphaは統計的に有意なAttention Patternが発生した時だけ、市場へ参加します。
つまり、
「いつ買うか」
よりも、
「いつ市場に参加しないか」
を選んでいる。
この構造は、Event Driven型に近い特徴を持っています。
そして、この構造的にリスクを回避している戦略が、TV AlphaのSharpe改善に寄与しているのです。
V26とV26.5
今回は、V26とV26.5という2つのTV Alphaの構成を比較しました。(図2)

V26.5は、広くAttentionを拾う構成です。
一方V26は、その中から”L5_Business_Ignite”というシグナルレイヤーを除外した構成になっています。
結果として、
V26.5はトレード数が増加し、総リターンはやや増えました。
しかしその代わり、Drawdownも大きくなりました。
一方V26は、SharpeやDDが改善しています。
これは非常に重要な示唆です。
TV Alphaは単一戦略ではなく、“Attention Layerの選別構造”そのものでリスク特性を変えることができるのです。
「認知と価格の歪み」を捉える
TV Alpha AIが見ているのは、価格ではありません。
「認知と価格のズレ」です。
社会でAttentionが発生している。
しかし市場はまだ十分に理解していない。
その歪みが存在する時にのみ、シグナルが発生します。
ただテレビに多く露出しただけでは、シグナルが発生しないのです。
これがTV Alphaの本質です。
TV Alphaは大声ランキングではありません。TV Alpha AIが関心を持つのは、”認知の歪み”です。
そして、この歪みは時間とともに市場へ浸透、解消していきます。そこにリターンのライフサイクルが生まれます。
つまりTV Alphaは、“価格化される前のAttention”を観測しているのです。
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著者:梅田仁 | Jin Umeda
ライフログ総合研究所(Life Log Lab.)所長
iPhone、iPod、iTunes、Mac、Apple TV、Apple Storeのシニア・マーケティング・プロデューサーとして、Apple(AAPL)を時価総額世界一のブランドに育て上げることに貢献。iTunesで取り扱う内外のエンターテインメント・コンテンツ、アーチストの需要トレンド、視聴者の嗜好パターン分析を通してプラットフォームメディアビジネスにも精通。2013年、ライフログ総合研究所を設立、TV Rank、Talent Rankサービスを展開中。著書:「売れない時代に売る新常識」出版文化社、2011